はじめて棋譜並べに取り組まれる方へ

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2017年1月4日 (水) 09:37時点におけるKisho (トーク | 投稿記録)による版 (→‎棋譜並べの小技)
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関連項目

おすすめの棋譜並べとやり方(囲碁)』(一つ上に移動)

囲碁・オセロ板』(トップページ)

置碁必勝法検討スレ/並べて学ぶ定石とヨセ』(同レベル)
置碁必勝法検討スレ/並べて学ぶ布石とヨセ』(同レベル)
置碁必勝法検討スレ/並べて学ぶ三々打込とヨセ』(同レベル)
置碁必勝法検討スレ/もっと並べて学ぶ定石とヨセ』(同レベル)
並べて学ぶ小目定石の周辺』(同レベル)
収録した棋士・棋譜について』(同レベル)

置き碁・指導碁について』(一つ下)

はじめに

「並べて学ぶ定石とヨセ」「並べて学ぶ布石とヨセ」を編集した際、
棋譜並べをやったことない人向けの説明文がほしいと要望がありました。
自分自身さして強くもないのに、そんな事を書いてもよいものかとも思いましたが、
ゼロは何倍してもゼロ、何事も為さざるよりも為すがよしと思って、
個人的な経験をまとめてみました。
なるべく客観的に書いてみましたが、その通りにやっても効果が出なかったら
それはたんに私の不出来です。 強くなる棋譜並べの技法が見つかったら内容の追加・修正をお願いします。

棋譜並べの準備

「並べて学ぶ定石とヨセ」「並べて学ぶ布石とヨセ」は1譜50手割、 A4版2Up両面印刷を想定しています。 一局3~6ページとなります。
(1譜の手数を減らせば並べやすくなりますが、そのぶん紙が増えます。)

棋譜は「Baduk Pro Game Socre」からダウンロードして、".sgf"ファイルとして保存してください。

保存したファイルは「棋院エディター」(日本棋院)などで印刷してください。
プリンタを持っていない方は「Primo PDF」(エクセルソフト)などでPDFファイルに出力したのち、
USBメモリにコピーしてコンビニ(セブンイレブンなど)で印刷してください。
印刷した棋譜は100円ショップでクリアファイルを買ってきて整理・収納するとよいでしょう。


初めて".sgf"ファイルを作った時はファイルを選んで右クリックして、

"プロパティ">"全般">"ファイルの種類">"変更">"ファイルを開くプログラムの選択"

で「棋院エディター」などを指定しておくと、次回から操作が楽になります。
(ファイルの関連づけ)


一局を一回並べて理解できる人はプロだけです。アマは一局を何回も並べましょう。
ピアノのお稽古ならいただいた課題曲を一カ月かけて練習します。
空手の型も演武の流れを覚えるだけで一カ月以上掛るのがあたりまえです。
筋力トレーニングだって効果を実感するのに一カ月、数値が変わるのに三カ月掛ります。
最初のうちは一局を百回と言わずとも、一日一回を三十日繰り返してもよいと思います。
回数を減らすのはずっと先のことです。

盤と石を使って並べましょう。ネット碁がメインの人でも実際に手で並べてみてください。
1,500円くらいのマグネット碁盤でも使うのと使わないのでは理解が違います。

棋譜を見ただけで理解できるのはプロだけです。
棋譜管理ソフトで再生すれば理解できる方はそもそもこの記事を読みません。
アマとは自分の手で並べて慣れるものです。習うことすらその先のことで、学ぶのははるか先のことです。

日にちをおかず、できれば毎日、無理なら隔日・二日おきで並べてください。
中三日以上間があくと習熟よりも記憶の減退の方が上回り、効果が薄くなります。

打碁集で棋譜並べ能力を身につける

「並べて学ぶ定石とヨセ」の第一集の棋譜を一局並べてみて、
・むずかしい、つかれると感じた方
・素並べで終局まで30分以上かかる方
 ※素並べ(すならべ):解説など読まず、着手を考えたりせず、ただ棋譜の数字を追いかけて並べる

以上の方は、まだ棋譜並べ能力が十分でないことが考えられます。

1譜の手数を十分に減らして並べるか、以下の書籍で棋譜並べ能力を徐々に上げてから並べてみてください。
素並べを初見の棋譜で行い、15~30分に収まるくらいの手数が適切な負荷です。

≪棋譜並べ練習のためのおすすめ書籍(やさしい順)≫
・「李世〓名局撰集」(上・中・下。"〓"は石に乙。音は"ドル")(棋苑図書)   (1譜 数手)
・「自戦細解」シリーズ               (誠文堂新光社) (1譜 数手~十手)
・「村川大介 青春の軌跡」              (棋苑図書)   (1譜 数手~十数手)
・「名局鑑賞室―道策から秀策まで」大平修三     (日本棋院)   (1譜 十手~五十手)
・「井山裕太栄光の軌跡」              (日本棋院)   (1譜 十手~五十手)
・「名人戦全記録」                 (朝日新聞)   (1譜 二十手)
・[囲碁名人戦 観戦記一覧 ]
 http://www.asahi.com/igo/meijin/PNDkansen_ichiran.html

 練習に棋譜並べを取り入れていると話してくれる人は少ないのですが、いくつか事例が聞けました。

 ○級位者(初段格に四~七子で打っている方)に聞きました。
     誠文堂新光社の古本を並べているが、身についているのかよくわからないそうです。
     でも明らかに以前より序盤が改善されています。本人が気づいていないだけのようです。
     対局後の感想戦でいろいろ聞くのがお好きなようです。
 ○初段格(指導碁で星目なら勝つ方)に聞きました。
     NHK講座の6譜分けを20分位で並べるそうです。解説は軽く読んで終わりにしているそうです。
     最終譜(ヨセ)が長手数のものは並べないか、もう少し時間をかけて並べているそうです。
     棋譜並べと詰碁を同じくらいの比率で取り組みたいけど両方はなかなかできないとも言われていました。
 ○五段格(五子なら碁になっているが、四子では厳しい方)に聞きました。
     総譜を1時間くらいかけて並べているそうです。棋譜並べはとても有効と言われていました。
     最近の棋譜は難しいので江戸時代や昭和の碁を並べているとも言っていました。
     最初のころは四隅で分割して1/4の分量で並べていたそうです。
     (1譜60手くらいになります。初段格の方のお話に通じる分量です。)

 棋譜並べをしないと昇級昇段できないというものではないようです。実際、三段格の方で対局とTV観戦(CATV「囲碁将棋チャンネル」)しかしないという方もいました。棋譜並べとは魔法の何かではなく、よく知られた練習メニューのうちの一つということのようです。

どの棋譜から並べるか

 棋譜並べ能力がついてきたら「並べて学ぶ定石とヨセ・第一集」と「並べて学ぶ布石とヨセ・第一集、第二集」を並べてみてください。
 星打ちを前提にして、以下の序盤が学べます。

・「並べて学ぶ定石とヨセ・第一集」は黒白共に二連星(星定石8型、10局)
・「並べて学ぶ布石とヨセ・第一集」は互先黒番(黒番二連星とタスキ星の打ち方、9局)
・「並べて学ぶ布石とヨセ・第二集」は互先白番(黒番頻出布石5型についての白二連星対抗策、18局)

 ここまでの棋譜ならば「囲碁に強くなる本」菊池康郎(金園社)(星・小目・三々一通りの定石掲載あり)と<「石田芳夫のやさしく考える布石」(NHK)(こちらはおおよそ全布石掲載あり)の2冊で、定石・布石についてそうとうな解説が得られます。
 どちらもやさしく書いてあって、購入しやすい価格です。金園社もNHK出版もアマゾンからの販売よりも自社サイトからの販売を重視しているようです。入荷・在庫状況や送料などを比較するとよくわかります。
 内容が薄い、知りたいことが書いてない、と感じるようになってから他の本の購入を検討すればよいでしょう。
 並べる→読む→並べるのサイクルを繰り返すと、並べるだけ・読むだけよりも理解が深まります。

 これに加えて「並べて学ぶ定石とヨセ・第二集(10局)、第三集(15局)」まで並べれば、もう相当な定石・布石通です。ここまでで62局ですから毎週1局並べても1年がかりになりますね。

棋譜並べの小技

※級位者の間は無理に着手の理由など考えずとも素並べだけで十分効果があります(習得)。
 意味を考えるようになる(学習)のはずっと先のことです。
 徐々に考えるようになれば良いですし、
 そもそもプロの棋譜は考えてもわからないものと割り切ることも大事です。
 「ふーん、そうなんだ」くらいで十分です。
※「序盤だけ並べましょう」という助言には、
 『(最初のうちは10分集中するのも難しいので)』という意味も含まれています。
 並べる時間も10分から徐々に30分へと増やしてください。
※「自戦細解」など譜分けの多い棋譜を並べて30分以上かかる場合はそこでいったん終わりにしてください。
 この場合は同じ棋譜を繰り返し並べ、30分で終局できるようになるのが最初の目標です。
※どうしても30分を切れない人は右手に黒石、左手に白石を持って並べるというやり方もあります。
※素並べでリズミカルに並べることをおすすめします。セロトニン神経が刺激されて楽しくなります。
 小難しく考えるのではなく、並べることを楽しむことが大事です。
※断続・連続を問わず、一日40分以上の棋譜並べは棋譜並べ初心者にはお奨めしません。
 (一般に習熟効果より疲労蓄積による悪影響の方が大きくなります。)
※一譜50手割六譜分け(コウ付き270手程度、終局した棋譜)を30分で並べられるようになれば、
 それ以降の棋譜並べのやり方は好き好きです。
 高速派・熟考派、最新タイトル戦・古碁、解説精読・並べて感じる、新聞連載・高額全集
 総譜派・細解派、一局を百回・百局を一回などなど、どのやり方が自分に合うのか見つけてください。
 自分が楽しめる並べ方がわかると長続きして、結果として身につきやすくなります。
※もちろん王道は徐々に譜割を減らして総譜で並べられるようになることです。
 前出のように総譜を1時間で並べると五段格の方と同じ棋譜並べ能力ということになります。
※「対局する→疑問に思った形・定石を書籍で確認→書籍を基に棋譜を検索して並べる→対局して試す」
 といったサイクルを自分で作れるようになれば効率的に理解が進むと思います。
※目安としては譜割の手数÷4が読みの手数の最大値とも言われます。
 すなわち50手割で並べられるなら、簡単な手筋で12手読みまではできるはず。
※慣れてきたらNHK杯を見ながら並べるというやり方もあります。1時間半寝ないで集中できるようになります。
※千局並べれば初段、という言葉もあります。毎日一局(一回)並べれば3年ということになるので、
 対局・詰碁と並行して取り組めばそんなものかとも思います。千回負ければ初段、と同じ理屈です。
※一方で50手割を100手割に増やしたり、30分を15分に縮めたりするのはとても難しいことです。
 あまり無理せず楽しむことに重きを置いてください。

自分で棋譜を集める

 「並べて学ぶ」棋譜集では「棋譜でーたべーす」へのリンクを貼っていました。2016年7月に「棋譜でーたべーす」のサイトが閉鎖となったことに伴い、以降は"Badukmovies pro game collection"へのリンクに貼りなおしています。"Badukmovies pro game collection"では、"progames">"pattern search"でパターン検索ができるので、布石・定石の検索に使えます。棋士の名前はアルファベット表記・検索なので、361point.comなどで英語表記を確認してから検索するとよいでしょう。

 囲碁の場合は"Badukmovies pro game collection"以外にも棋譜収集サイトがありますので、
 自分で棋譜を集めるのなら、必要に応じてサイトを使い分けるのがよいと思います。

一括ダウンロード

 一括ダウンロードは"Badukmovies pro game collection"を使うのがよいでしょう。

[Badukmovies pro game collection]
http://badukmovies.com/pro_games

 右側フレームの"Download collection"ボタンで5万局を圧縮形式でダウンロードできます。

 「並べて学ぶ」棋譜集に出てくる棋譜はすべてこの棋譜集に含まれていることを確認済です。
 5万局とは、アマチュアでしたら十分すぎる対局数です。

最新の棋譜

 棋譜の鮮度が重要な方や、各棋戦の予選などまで入手するのなら"棋譜ぅ"をおすすめします。

[棋譜ぅ]
http://www.kihuu.net/

 国内・海外の予選もよく収録されており、これもアマチュアでしたら十分すぎる情報量だと思います。
 (ちゅうか、これだけ鮮度とカバレッジにこだわっている人はプロだけじゃないすか?
  irvineで毎日一括ダウンロードしてkombiloで一人黙々と研究するのをいとわない人向け。
  [irvineを使うときはサーバに負荷を掛けないように。
   1局ダウンロードしたら1分インターバルを置くとか配慮するものですよ!]
  普通のプロ棋士は一局づつ目で読んで、明日の対局相手の傾向と対策を自宅や出先で検討しているのでしょうか。)
 いっときますけどDBとしての検索機能は期待してはいけません。

アマチュアの棋譜

 アマチュアの棋譜なんて集めて使えるのか、と最初は私も思っていましたが、これも使い方です。
 「並べて学ぶ」棋譜集はアマ高段者頻出布石・定石に絞ったために簡明な形、知られた形だけになりました。
 また、定石はずれの咎め方なども調べられるので、とても便利です。
 kombiloを作成したUlrich GoertzさんがKGS 6D,7Dの人の棋譜を2001年から集めて掲載しているPageが以下です。

[Game records in SGF format]
http://www.u-go.net/gamerecords/

 15万局を超える棋譜が掲載されていますので、調べものには十分でしょう。
 KGSには力戦派が多く、プロに比べると美しさが劣るので、わざわざ棋譜並べに使う必要はないと思います。

Go database program "Kombilo"

 そうやって集めた棋譜をどうやって調べるのかですが、これはkombiloを使うことになります。
 インストール方法や使い方は以下のURLに書いてありますので、英語が読めれば簡単に準備できます。

[Kombilo 0.7.4]
http://www.u-go.net/kombilo/

 Windowsが前提ですが以下の点に注意が必要です。

 ・日本語環境で使う際は日本語のファイル名やフォルダ名には対応していないので、
  sgfファイルは"c:\kombilo"といったフォルダを作ってそこに置く。
 ・DBファイルはあまり大きいと動作が不安定になるので、1フォルダのsgfファイルは5万局程度にとどめ、
  フォルダ単位でDBファイルを作成。
 ・(ファイルの振り分け(フォルダのまとめ、分割)にはClassiNyなどを使います)

 [Badukmovies pro game collection]と[Game records in SGF format]で20万局を超えますから、
 普通のアマチュアはこれで必要かつ十分だと思います。[Game records in SGF format]もKGS 6D, 7D
 の人ですから(対戦相手は1Dくらいまでいる。置碁。)、アマとはいってもタダモノではありません。
 Britz対局(10秒碁)も多いようですけど、それで決定的に質が下がるというものでもないでしょう。

とにかく手早く手に入れたい

 ここまで書きましたが、こまごました作業がめんどくさかったら、
コンビニやキオスクで「週刊碁」(270円)を買ってくれば最新のプロの棋譜が4,5局手に入ります。
 また、インターネットでしたら朝日新聞のサイトから名人戦関連の棋譜が手に入ります。

[囲碁名人戦 観戦記一覧 ]
http://www.asahi.com/igo/meijin/PNDkansen_ichiran.html
   内容を問わず、今すぐほしいのだったらこれで十分という考え方もありますね。
 いずれもトッププロの棋譜ですから並べて悪いところはありません。

関連項目

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囲碁・オセロ板』(トップページ)

置碁必勝法検討スレ/並べて学ぶ定石とヨセ』(同レベル)
置碁必勝法検討スレ/並べて学ぶ布石とヨセ』(同レベル)
置碁必勝法検討スレ/並べて学ぶ三々打込とヨセ』(同レベル)
置碁必勝法検討スレ/もっと並べて学ぶ定石とヨセ』(同レベル)
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収録した棋士・棋譜について』(同レベル)

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